JPX常務執行役 山澤光太郎氏に聞く
先物ジャーナル
アジアでナンバーワンの取引所に
──総合取引所の中に商品先物市場が入ることについて、率直にどう思うか。
「JPXには先行きのビジョンがあって、それは『アジアで最も選ばれる取引所』ということ。政府からは『アジアでナンバーワンの取引所になれ』と言われているが、現物のほうは、取引高、上場企業の時価総額、どちらで見てもアジアナンバーワンだ。ニューヨークがあってナスダックがあって、3番目が東証(東京証券取引所)という世界。
でも、デリバティブは決してそういうステータスになっていなくて、取引高でみると全世界で17位。アジアで9位。JPXがさらに取引高を増やしてアジアの中でフレゼンスを増やしていくことを考えていくと、コモディティの分野は絶対に必要だろうと思う。
なぜかというと、お客様がそれを望んでいるからだ。要するに、今のHFT(高速取引)をする人とかフロップハウスなどのお客様はグローバル的にみてすごく増えている。そういうお客様にとっては、デリバティブでいえば原資産は何でもいいわけだ。デリバティブの先物でもオプションでも、複数のデリバティブ商品の市場価格の動きをみながら、その相関関係に基づいて取引するだろう。それは、幅広ければ幅広いほどいい。だから、(日経)225と金、225と為替のアービトラージをするとか、そういうタイブの取引参加者が増えてきているので、顧客のニーズに応えられない取引所は、生きていけないと思う。
そういう意味で、東商取さんが株をやるのももちろんいいのだろうが、ワンストップで、1つのシステムでさまざまな多数の商品を幅広く提供する取引所でないと、成長できない。そういう意味では、総合取引所に商品先物市場が入るというよりも、コモディティを含む幅広い商品を提供する取引所であるということは、とても意義あることだと思う。
もう1つ、コモディティがアジアで1つの焦点になってきていると思う。ICE(インターコンチネンタル取引所)がシンガポール・マーカンタイル取引所を100億円くらいで買った。金額自体はたいした値段ではないが、でも、ほとんど取引高がゼロの取引所を買ったという点では高いのかもしれない。それは要するに、取引から清算までセットに持っている取引所をインフラとして買った。中身はこれからICEが売っていくということだろう。それから、ユーレックスがもっと小さいプライベートな取引所の株を52%買った。SGX(シンガポール取引所)と香港取引所がMOU(覚書)を結んでコモディティや人民元のビジネスをやっている。CMEはマレーシアに出資して、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)では全部グローベックスというシステムで取引が行われている。また、上海のフリートレードゾーンに原油の先物のマーケットができた。やはりアジアの時間帯でのコモディティビジネスは、グローバルにみんなが見ている。
そういう中で、日本は今とてももったいないことになっていると思う。総合取引所をめぐるさまざまな議論で、前向きな動きがとれなくなっている。中国が2020年までに国際金融マーケットになっていくのだという議論をしていて、こうした世界ナンバーワンのコモディティの需要国の動きが極めて急な中で、それに対応する形で、シンガポールでもグローバルなメガマーケットも動き始めており、そういう状況下でJPXも東商取さんも含めて何の動きもしていないということが、もったいないと思う」
「(日本の)コモディティのマーケットがかなり危機的な状態になっている。この10年間、グローバルなコモディテイ・マーケットの出来高は5倍になっているが、一方の国内の出来高はこの10年間で5分の1になっている。この中でどういう手を打っていくかといったときに、日本のマーケットのためにオールジャパンで頑張っていったほうがいいと思う。なるべく早いタイミングで総合取引所が実現すればよいと、私自身は思っている」